かな料紙 - 小室かな料紙工房 -

伝統的製造方法で、書道用かな料紙を製作しています。このWebサイトでは、製作に係わる職人の立場から、かな料紙の作り方や種類など説明したいと思います。

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工房日記の記事一覧

唐紙(雲母摺り)

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大色紙の大きさの唐紙をつくっています。
今回はぼかし染めした具引き(胡粉を引いた)紙に
雲母で文様を摺る工程です。
今回も動画にしてみました。

雲母は粉状にしたものを膠とフノリで解いたものです。

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木版は菊唐草文様を使いました。

紙は適度に湿しています。
これは、紙が水分を含んでの伸びることにより
摺りの時に、紙がしわになるのを防ぐ為です。
また、乾いた紙に摺るよりも絵の具の付きが良くなります。
映像では、新聞を湿し、その間に摺る紙をはさんであります。
乾燥を防ぐ為さらに、ビニールのシートで包んでいます。

浮世絵のように同じ紙に数色摺る場合は、布を湿して
全体を覆うようにします。
紙が湿っている時間が長いので、通気が悪いと紙に悪影響がでます。

ここでは、湿してから一度摺るだけなのでビニールシートでも
大丈夫です。

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作業台はこのようになっています。
今回は全体が見えるように撮ってみました。
まだ編集がうまく出来ず、ただ撮っただけの映像になっています。
お許しを!

木版画

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石崎浩さんと言う方がおられます。
茨城県の伝統工芸の職人さんを木版画で表現されています。

一件一件、ご自分で職人さんの工房を訪ねて回り、丁寧にお話を聞いて
取材されたそうです。

昨年の郷土工芸展でお声をかけて頂き、私も版画にして頂きました。

この度、今まで製作された多くの版画を展示することになったそうです。
頂いた案内状には、なんと版画にして頂いた絵が使われていました。
感激です。

お一人でも多くの方が会場を訪れて下さいますよう、願っています。

    2014年5月27日(火曜日)~6月1日(日曜日)
              5月30日は休館日

            茨城県立図書館 ギャラリー
              平日9時~20時  土日9時~17時

                  (ブログへの掲載はご本人の許可を頂いています。)

現代女流100人展

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今年も現代女流100人展にて料紙製作の実演を行います。
会場の出口に、書道用品の販売コーナーがあります。
そこに筆、墨、硯、紙などの各種業者さんが出店します。

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写真は昨年のものです。
昨年は、箔装飾の実演を行いました。
今年は継紙を作ってみようと思っています。

会期中、お立ち寄り頂けましたら嬉しく存じます。
よろしくお願い致します。

私は、毎日売り場に居ります。
お気軽にお声をかけて頂けるとうれしいです。

現代女流100人展

平成26年5月8日(木曜日)→12日(月曜日)
日本橋高島屋8階ホール
午前10時~午後7時30分  最終日は午後5時30分まで

書道用品販売コーナー  翠祥堂(すいしょうどう)にて

楢材(ならざい)の仕入れ

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楢の木を仕入れました。
皮をむいて、釜で煮出し、茶色の染料になります。

近所の建設業者さんの土場をお借りして、かたづけるまでの間
置かせてもらっています。

もともと椎茸栽培用の原木なので、放射能の測定結果と
基準値以下であることの証明書が付いてきました。
原木栽培に取り組む方々のご苦労が、思い起こされます。

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近くに推定樹齢300年の山桜が有ります。ちょうど今見頃です。

桜を眺めながら、材木のかたづけを始めようと思います。

ぼかし染め(刷毛ぼかし)

DSC02951 刷毛を使う「ぼかし染め」のお話です。 今回は、初の動画にチャレンジです!!

作業机を写真のようにセットしています。 動画は手元しか映っていないので、
周りは写真から 想像してください。

あらかじめドーサを引いた紙を使います。

最初に水を引きます。

次に顔料をのせ、三種類の刷毛を使って色を広げるように ぼかして行きます。

布で拭いているのは、刷毛を乾いた状態で使うためです。 刷毛筋が出ないようにしています。

ぼかす位置を変えながら、続けて染めていきます。 広げて乾燥させます。

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この後に、墨流しを入れたり、箔を撒いたりといった作業に移ります。

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県産品展示コーナー

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茨城県庁舎二階に、県産品の展示コーナーがあります。
今月は展示替えなので、今日新しいかな料紙を送りました。

一年間飾って頂くので、少し明るい感じの大色紙(27㎝×24㎝)を選んでみました。
破り継の料紙です。

もし県庁に行かれることがありましたら、ちょっと覗いて頂けたら嬉しいです。

早春の料紙

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継紙の大色紙です。(8寸×9寸)(24㎝×27㎝)

二月十七日、フェイスブックの投稿に感激しました。
「なんと、良い色!!」

常陸太田市旧里見地区で木の里農園と営む布施大樹さんの投稿です。
まだ残雪の残る小川に桜色の大根が浮かんでいる写真でした。

大根の色と残雪の白、小川のきれいな流れ。
ずっと、投稿の写真が忘れられず、記憶の真ん中に柔らかに残り続けていました。
そこで、その柔らかな印象をかな料紙で表現してみました。

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ここに早春の歌を一首。俳句を一句。言葉を一言。

感じるままに、書いて頂けたら
なんてことを、妄想しています。

残念なことは、下の大切な部分の色がどうしてもうまく撮れないことです。
背景を濃くすると益々わかりにくくなってしまいます。
実際は、大根の色に見立ててぼかし染めになっているのが
もっとハッキリわかります。

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もし、フェイスブックにアカウントをお持ちの方。
ぜひ、布施さんの投稿をご覧になってください。

私(小室久)のフェイスブックにもシェアしています。(2月17日です)

木の里農園にはウェブサイトがあります。
こちらも是非、ご覧下さい。
余談ですが、私のウェブサイトを作ってくれた
同じデザイナーさんのお仕事です。

    木の里農園

      http://konosato.com/

野毛(のげ)

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今日は野毛を作る工程をお話しようと思います。

写真が銀の野毛です。
これを竹筒に入れて紙の上に撒きます。

野毛を作る最初の作業は合わせ箔を作ることです。
合わせ箔は、二通りの方法があって

  熱によって合わせる・・・・・截金(きりかね)、大きめの切箔などに使います。
  ドーサによって合わせる・・・・・野毛を作るときに使います。

今回は、ドーサ液で張り合わせる方法で作ります。
ただ、この方法は一年の内でも限られた時期にしか作れないので
また改めて投稿したいと思います。

今回は、合わせ箔になっているところからです。

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この写真は、箔合わせをしてから短冊状に切った状態の箔一枚です。

ここまでで、全行程の9割です!
野毛作りは、箔合わせでほとんど質が決まってしまいます。

木の板に薄い和紙を張り、そこに一日一枚のペースでドーサ液で箔を
重ねて張っていきます。
基準は5枚です。
そのあと、和紙を取り除き短冊状に切ります。
厚く固くなった箔はこうして、竹のピンセットで持ち上げることが出来るくらいになります。

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このように短冊状のものを15枚重ねて、一度に切ります。

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これが野毛を切る台です。
竹を半分に割り、その曲面を利用して切ります。

セルロイドのシートを使っているのですが、これは刃ガ竹に直接あたらないために
使っています。合わせた箔も同じもので挟んであります。

色々なもの使ってみて、今のところこの材質が良いようです。ちょっと意外ですが。

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刃物は、和カミソリです。
これで、極細く切り刻んでいきます。

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切っているところです。
一回切ると15本の野毛が出来ます。

紙に撒いたときに、針のように真っ直ぐになるように。
そのために、このような工程が必要になります。

野毛を使った古筆と言えば、元永本古今集です。
今度、元永本の料紙を見る機会がありましたら、ぜひ注目してください。

裂箔(さきはく)

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今日から三月。
梅雨前のころまで、料紙の加工には良い季節です。

今日は、裂箔の事を書こうと思います。
裂箔は、箔を竹のピンセットで不規則に破ったものです。

箔は金属だと付いてしまうため、竹製のアイバシと呼ばれるピンセットを使います。
偶然によるところが多いので、思いもよらない形になったりもします。

敢えて形を整えるときは、ピンセットを二つ使って調整することもあります。

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このように、あらかじめ必要なだけ作っておいて、箔を撒く作業の時に使います。
裂箔は撒かずにピンセットを使ったり筆を使ったりして、目標の場所に置くようにします。

裂箔の効果はとても大きく、一瞬で場面が華やかになります。

扇面法華経冊子
平家納経
西本願寺本三十六人家集
源氏物語絵巻

これらの古筆には裂箔を使った表現が多くみられます。
図版を見る機会がありましたら、注目してみて下さい。

筑波大学 修了制作展

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今日は、茨城県つくば美術館に筑波大学の修了展を見に行ってきました。

写真の屏風は、江戸初期の烏丸光廣「聚楽行幸和歌巻」の臨書作品です。
料紙の製作をさせて戴きました。

作者の方との出会いは、平成24年11月。
私が講師の一人として参加した、和紙文化講演会でした。
そこで料紙製作の依頼を受け、工房にも訪ねて来て下さいました。

とても熱心な方で、一生懸命作品制作に取り組んでいることが伝わってきます。
こうして展示されている作品を拝見して、感激しました。

修了展は、今月23日まで開催されています。

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ここで「聚楽行幸和歌巻」の料紙のお話を少し。

元の装丁は巻物で、8紙を使って書かれています。
色使いは原本に倣っていますが、以外と斬新です。
料紙の上部に一文字に木版で文様が入っています。

龍の文様の連続ですが、ちょっとユーモラスな感じの龍ですね。

(作者の方から、ブログ掲載の許可を頂いています。)

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