かな料紙 - 小室かな料紙工房 -

伝統的製造方法で、書道用かな料紙を製作しています。このWebサイトでは、製作に係わる職人の立場から、かな料紙の作り方や種類など説明したいと思います。

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工房日記の記事一覧

砂子を作る作業 続き

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砂子を作る作業の続きです。

今回は銀箔の切り廻しを使ってみます。銀砂子です。
前回より細かい砂子を作ります。

始めに使うフルイは前回と同じ目のものを使って
細かくします。

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さらに細かい目のフルイに移します。
目の数で言うと4倍くらい細かくなっています。
今度は、染色用の刷り込み刷毛で丁寧にフルイを通します。

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フルイを通った後の砂子です。
白い紙だとわかりにくいので、染め紙の上に落としてみました。

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桐箱に入れて保存しておきます。

砂子は、あて無しに撒いたり、霞状に振ってみたり、型を置いて撒いたりと
紙に撒くときに、色々な方法があります。

金砂子を作る作業

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金砂子は、箔をフルイで細かくして作ります。

箔は「切り廻し」と言って、箔打ちの終わった箔を四角に整形する時
周りの落とした部分を使います。
箔は枚数で売られていますが、切り廻しは重さで売られています。

さて、その切り廻しをフルイに入れます。今回は荒いタイプの砂子を作ります。

フルイの中に入れた切り廻しを、茶筅(ちゃせん)の古いものを使って
丁寧に少しづつフルイを通していきます。

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フルイの下に出た箔です。
この時点では、砂子の大きさにばらつきがあります。

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今度は、少し目の細かいふるいに移します。
これで細かすぎる砂子を取り除きます。

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これは、少し目の細かいフルイを通って下に落ちた砂子です。
これは細かいタイプの砂子を作るときに使うため、とっておきます。

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こうしてフルイの中にある程度大きさのそろった砂子が残ります。
これを桐箱に入れて保存しておきます。

砂子の大きさは、古筆に使われている料紙をもとにして作ります。
実際に紙に撒いてみてから古筆と比較し、フルイの目の大きさを調整します。

箔装飾の料紙には、まだいくつか用意するものがあります。
紙に撒くまでにあと何回更新するでしょうか?
どうぞもう少しお付き合いください!

金箔を切る作業 続き

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金箔を切る作業の続きです。
一つの料紙を作るのに通常、大切、中切、小切の三種類を切り分けます。
前回アップしたものが大切で、この写真は中切です。

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この写真は小切です。
短冊に切っていく作業は同じで、切幅だけが違います。

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切った箔を集めているところです。
丁寧に手前の隅に集めます。

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箔と箔の間に挟んである紙をつかいます。
紙の上に切った箔を落としています。

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紙を折って包みにした状態です。
この包みを必要なだけ作り、箔を撒く工程に移ります。

次回は、砂子を作る工程を説明したいと思います。
砂子は、切らずにフルイを使って箔を細かくします。
砂子の大きさは、フルイに張ってある網の目の大きさで決まります。

「サライ」

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小学館発行の雑誌「サライ」に掲載して頂きました。
二月号、日本美術の技というシリーズの18回目です。

ウェブサイトを公開して間もなくの事、編集の担当の方から連絡を頂きました。
「ウェブサイト見ました。」
まだ、検索サイトにも出ていない頃でしたので驚きでした。

3ページを使った記事にして頂きました。
「サライ」をお手に取る機会がありましたら、ご覧頂けたら嬉しいです。

   (「サライ」表紙のブログ投稿への使用について、担当の方から許可を頂いております。)

おめでとうございます。

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あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願い致します。

昨年は、ブログを見て頂きありがとうございました。
今年も更新を続けていきますので、
時々のアクセスをよろしくお願い致します。

皆様にとって良い一年となりますよう
お祈り申し上げます。

写真は、高知県室戸岬の日の出です。

金箔を切る作業

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箔盤の上に、金箔を置きます。

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始めに竹刀を使って、金箔を短冊状に切っていきます。
大きさにばらつきが出ないように等間隔に切ります。

竹刀を軽くあてるようにして上下に動かして
ほとんど力を入れずに作業します。

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一通り切り終えたところです。

次に90度まわして、また端から切っていきます。

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このように、縦横に短冊状に切ることによって

四角い切箔になります。

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拡大すると荒が目立ちますね。
ちょっと恥ずかしい!

作業そのものは単純なことの繰り返しです。
難しいところは、金箔の扱いが慣れないと
なかなか思い通りにいかないところでしょうか。

次回は、箔盤から包みに移すところなど
切る以外のことも、少し触れてみたいと思います。

映画「かぐや姫の物語」のお話


映画「かぐや姫の物語」にかな料紙が使われています。

オープニングの題名の背景とそれに続くクレジットの背景に
数枚使って頂きました。

多くが書芸文化新社版「本願寺三十六人集」の出版に製作した料紙です。
ここで、書芸文化新社版のお話をしようと思います。
次の写真は販売用のパンフレットです。

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昭和46年、飯島春敬先生監修のもとに進められた「本願寺本三十六人集」の複製事業です。
コロタイプ印刷による原本の複製と、料紙を再現する「抄出複製」が製作されました。

この料紙を再現した、三十六歌仙一歌人につき一枚作られた「抄出複製」が
今回使われた料紙です。
途中長い間の中断もあり、完成したのが平成11年4月でした。(限定150部)

祖父から三代、この仕事に係わったことになります。
私は、最後に作られた「伊勢集」「信明集」「重之集」「赤人集」「元真集」の五つの製作に
参加しました。

もし、これから映画をご覧になる方がいらっしゃいましたら
ほんの数十秒の間ではありますが気に留めてもらえたら嬉しいです。

映画は、期待どおりの高畑監督の世界です!!

日の出

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朝もやのなか、日の出が幻想的できれいでした。
すぐに晴れてしまったので、ほんの少しの間の光景でした。

箔を切る竹刀

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箔を箔盤の上に乗せ、竹の刀で切ります。
節のほうを持つための箇所として残し、途中から刃を付けてあります。
竹といっても篠竹と呼ばれている細いもので

海沿いの潮風を受けて育ったものが良い、と聞いています。

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写真は、切ってから三十年くらい経った篠竹です。
四つ割りにしてから使います。
真っ直ぐなものを選んで使うのですが、割ってみると意外と
曲がっています。
適したものだけを使うのですが、さらに削ってみるまで
使えるかどうかがわかりません。

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刃を付けているところです。

小刀を固定して、竹刀を引くようにして刃を付けます。
角度がポイント!
新しく作ったときは、切れるようになるまでじっくり取り組みます。

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写真では刃の様子が分かりにくいので、おまけの一枚です。
様子がだいたい伝わったでしょうか。

続きは、次回。

箔盤のお話

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金箔、銀箔を切る台を箔盤といいます。
写真は祖父の代から使っている箔盤です。

父もずっとこれを使っていたので、三代にわたって使い続けています。

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蓋を取ると中には桐の板に鹿の皮を張った板が入っています。

この上に箔を乗せて竹の刀で箔を切ります。

こうして見ると、ずいぶん年季がはいっていますね!

工房の近くに、子供の木のおもちゃを作る作家さんがいます。
この箔盤を持って行って、同じものを作ってもらうようにお願いしました。
そうして何日か後に、出来上がったのが次の写真です。

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同じく桐で作ってもらいました。
父が元気で仕事をしていた頃だったので、私も自分用のきれいなものが
ほしいと思っていたのです。
それまでは、自作のものを使っていました。

それにしても、さすがです!
子供のおもちゃを作る感性で立派なものができあがりました。

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中は同じように、鹿の皮を張ってあります。

これを見た父が、
「オレも、ほしいな。」
なんと!

それで、もう一つお願いして作ってもらいました。
結局、父はそれを眺めて楽しんでいただけでした。
今でも皮を張らないまま、大切に保管してあります。

もう10年も以前の話です。良い思い出です。

現在私は両方の箔盤を使っています。

続きは次回。

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