かな料紙 - 小室かな料紙工房 -

伝統的製造方法で、書道用かな料紙を製作しています。このWebサイトでは、製作に係わる職人の立場から、かな料紙の作り方や種類など説明したいと思います。

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工房日記の記事一覧

蝋箋(ろうせん)のお話

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蝋箋は、唐紙の仲間です。
唐紙では、文様は雲母を膠でといで使いますが
蝋箋は、文様を擦り出して表現しています。

下地は唐紙と同じように胡粉を引いてつくります。

そうして下地の出来上がった紙を、表を上にして
木版の上に乗せます。
それから、猪牙(ちょき)を使って、丁寧に擦ることにより
文様の部分が現れます。

写真はイノシシの牙を、道具として加工したものです。
この形で販売されています。猪牙です。

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猪牙で擦るときに少しだけ木蝋を付けます。
そのまま擦っても、紙の表面がむけてしまいうまくいきません。
木蝋をほんの少し付けることにより、滑りがよくなるのと
紙の面に光沢がでます。
もう30年近く使っていますが、ほとんど形は変わっていません。
それくらい、少量しか付けません。

この蝋を使うことで、不思議と墨をはじくことがありません。
新しい木蝋を使って試験すると、濃い墨は大丈夫なのですが
薄い墨や、かすれた部分が今ひとつです。
専門の方に見てもらっても、ただの木蝋です。
祖父の代から受け継がれたものなので、大切に使っています。

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写真は、寸松庵色紙の亀甲紋です。
円を描くように、丁寧に擦っていきます。

一枚の料紙を仕上げるのに、かなりの時間を要します。
一番手間のかかる料紙でしょう。
ただ根気よく、根気よく、丁寧に、丁寧に、です。

蝋箋を使った古筆は、ほかに巻子本古今集や道斉集などが
あります。

講演

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坂戸書道連盟さんのご招待で、かな料紙のお話をさせて戴きました。
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墨流しの実演をしました。

御集り頂いた書道家の皆様、たいへん熱心にお話を聞いて
頂きました。心より感謝です。

より分かり易くと、心がけているのですがなかなかうまく説明が
できません。今後の課題です。

2013年9月15日 坂戸市文化施設オルモ

バレン

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木版摺りに使うバレンのお話です。
竹の皮をはがして、中身を出してみます。
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竹の皮の元に近い部分の、三分の一くらいの丈夫なところ。
その皮を細く裂いて、縄のように編んだものが中に入っています。
これは、八コと呼ばれている編み方のものを渦巻き状に巻いて
当て皮という台に収めたものです。
縄の凸凹が程よく紙の面に当たり、摺ることができます。
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これは十二コと呼ばれている編み方のバレンです。
八コに比べて当たりが柔らかく、細かい線が多い版木を
摺るのに適しています。
バレンは、摺る用途によって数種類の編み方があり
仕事に合った使い方をしています。

バレンは一生ものの道具で、使えば使うほど手に馴染んで
使いやすくなっていきます。
前の写真は、修行時代に購入したもので30年くらいは使って
います。
この写真のバレンは、兄弟子から譲り受けたもので
たぶん三世代に渡り使ってきたものではないかと
思います。
たいへん摺りやすい魔法の道具です!!

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何年か前の話。
工房の物置の棚で野良猫がお産をしました。
ある日、気が付くと小さいのがチョロチョロしていた。

野良猫の親子をそのまま飼うことにして数か月。
三匹の子供たちは順調におおきくなり、
母猫と同じくらいになりました。
それでも、まだまだ行動が子猫なのです。
そんな頃の写真です。
中央の乗られている猫がお母さん。

他の写真を探していたらば、仕事の写真に
まぎれていたのでアップしてみました。

この写真から6年は経ったでしょうか。
今は、黒い猫とシャムネコ柄の二匹がいます。

木版 自作

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今日も、木版のお話です。
版は自分でも作ります。写真は山桜の木を使った合板です。
表面は鉋(カンナ)ではなく、超微細なベルトサンダー。
分かり安くいうと紙やすりでしょうか。
それでも、手で触るとツルツルで鉋仕上げとそれほど
変わらない感じです。
自作の木版は、この版木を使っています。

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写真は、亀甲文様です。
寸松庵色紙や道済集や粘葉本和漢朗詠集などに使われています。
原本の印刷物から文様を写し取り、版下(原稿です)を新しい版木に
貼って、彫ります。

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これは大波文様です。
元永本古今集や西本願寺本三十六人家集に使われています。

古筆に使われている文様は、かなりの種類になりますが
まだまだ作りたいものが多くあります。
版づくりには原稿書きから彫りまで、かなりの時間がかかるので
なかなか思うようには製作が進みません。

現在持っている版木は、財産というべきもので大切に
使っています。

木版

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雲母摺りに使っている木版です。
大きさはA3くらいのサイズだと思って頂ければ良いかと思います。
前回アップした版木に彫りの職人さんが製作したものです。
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これは、苺唐草、または花唐草と呼ばれている文様の木版です。

良く使う木版で25種類くらいあります。
何色かに染め分けた紙に何種類かの木版で模様を摺るので
組み合わせはもっと多くの種類になります。
古筆用に作るときは、色と文様はだいたい決まっているのですが
普段の製作は、色と文様の組み合わせを決めずに作ります。

ここでまたお客様からのご意見で、前回と同じものがほしいのに。
申し訳ありません。
これもまた、これからの課題で対応していきたいと思います。
今のところ、紙があるときにお求め頂くしかありません。
よろしくお願い致します。

版木の話

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版木は山桜の木を使います。
山桜は、木目の柔らかい固いの差があまりなく、均一な
材質です。また固めで粘りがあるので版木にはとても
向いている木材です。

私が若い頃、版木専門に製作する職人さんがいました。
浮世絵版画はこの山桜の版木を使います。
固い木の表面を鉋(カンナ)で丁寧に削って仕上げます。
鏡の面のようにツルツルです!
写真は、その職人さんの仕上げた千社札用の版木です。
(172㎜×65㎜×24㎜)
使うことなく時々手で撫でて、感触を楽しんでいます。

六十代で亡くなられ、後継者がおられなかったので、
今は専門の職人さんは一人もいません。
現在版木は、江戸指物の職人さんに仕上げてもらって
いるそうです。

雲母摺り

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胡粉で染めた紙に、木版で雲母を摺ります。
雲母はフノリと膠でといであり、刷毛でタンポに
付けているところです。
手前のバットに雲母の絵の具が入っています。
硯用の保温器が丁度良く、使い勝手上々です!

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今度は、タンポで木版に丁寧にムラにならないように雲母の絵の具を
付けます。木版は、あらかじめ湿しておいてから使うようにします。

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版木に紙を乗せるところです。

版画はふつう右見当で紙を版木に乗せます。右手の角に合わせて
ということです。
料紙の加工は、表右見当なので版画で紙を乗せるときは裏返しに
なるので、左見当になります。
どうでもよいような話ですが、見当はけっこう重要なものです。

あと一つ、紙はしっかり持たない!胡粉は手の油を吸いやすいので
作業の時に気を付けなければならないことです。
軽くひっかけるような感じ、でしょうか。

最後の摺っている写真は、プロフィールに使っているのが
続きです。
襖の唐紙は手のひらを使って摺っていますが、私は、バレンを
使います。

唐紙の下地 ぼかし

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前回は基本の無地染めでしたが、今回はぼかし染めです。

写真は刷毛に絵の具を付けた状態で、左に色の付いた絵の具、
右に胡粉だけの白を付けます。
これを刷毛の動きで全体にぼかした状態にします。

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ぼかした状態で絵の具の付いた刷毛で、そのまま染めます。
無地で染めるのに比べて、刷毛の動く方向が制限されるので
より丁寧に染める必要があります。

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染め上がりです。
胡粉の柔らかい色の感じが、染めていて心地よい!
と感じます。

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各色に染めた紙を、広げて乾燥しています。

ここで色の問題について少し書いておこうと思います。
無地、ぼかしにかかわらずお客様からのクレームで多いのが、
「前回と同じ色が無い!」
本当に申し訳ありません。
単色の絵の具を使うものでも、濃い薄いが多少でてしまいます。
紫や緑、少し渋めの色など混ぜて作る色は、作るときによって
色味が違います。
私の腕の問題!というのが一番だと思うのですが
見本を用意して色合わせをしてもなかなかピッタリ同じ色に
なりません。また、ある程度の時間の制約もあるので
近いところで妥協してしまうこともあります。

普段の仕事は、見本無しで色だしをしながら次々染めていくので
なおさら色味が変わってしまいます。

どうしても同じ色をそろえたい時は、同じ時期の製作の中から
選んで頂くのが良いかと思います。
言い訳たくさんになってしまいました。

次回、雲母摺りの工程について説明したいと思います。

唐紙の下地

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胡粉を膠で良く練るところから、仕事の始まりです。
毛足の短い刷毛で濃いめの状態で膠と胡粉をよくなじませます。
さらに染める色に合わせて絵の具を加えます。

写真は、藍色の絵の具を入れて、程よく薄めて
染める状態にしたものです。
刷毛は、馬の毛でわりと毛がしっかりしたものを使います。

胡粉(ごふん)
イタボガキの貝殻を十年から十五年くらい天日でさらし
石臼で引いて粉にしたものです。
日本人形、日本画、などに使われ、そのままだと
温かみのある独特の白になります。

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あらかじめドーサを引いてにじまないようにした雁皮紙に
刷毛で染めている写真です。
縦横に何度も刷毛を動かして、染むらの無いように
作業をします。

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広げて乾燥しているところです。

全体を通して、
膠の加減に気を付ける事が大切です。強すぎても
弱くても、後々問題が出てきます。
数字で表せないので、作業をしてみて感じて覚える
しかありません。

乾燥が仕上がりに影響するので、天気の良い
よく乾く環境が理想です。
梅雨時の高温で湿度の高い状態は、いちばんむずかしい
季節です。

次回も又、下地作りの続きをアップしようと思います。

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