かな料紙 - 小室かな料紙工房 -

伝統的製造方法で、書道用かな料紙を製作しています。このWebサイトでは、製作に係わる職人の立場から、かな料紙の作り方や種類など説明したいと思います。

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工房日記の記事一覧

お客様

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今日から11月です。早いです。

ここ二三日、見慣れない小鳥が工房に。
背中の下のほうから、尾羽にかけての黄色がとても良い。

ムラサキシキブの実を食べては、窓に近いところにとまって
楽しませてくれています。

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問題が二つ!

飼い猫が二匹で狙っている。

フンがそこいらじゅうに。

とはいえ、ゆっくりしていって下さいな。

米沢市にて

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山形県米沢市で、かな料紙のお話をさせていただきました。

第11回「かなを書く」書道展の会場です。

皆様熱心に聞いて下さり、質問もたくさん頂きました。

会津若松から喜多方をぬけて米沢に着く途中の峠道、
紅葉がちょうど見ごろできれいでした。

茨城県郷土工芸品展

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本日から三日間、茨城県庁にて郷土工芸品展が始まりました。

ご来店のお客様をはじめ、出店の職人さんともお話しすることが出来、
たいへん楽しい時間をすごしました。

写真は、茨城県知事の橋本さんです。
それぞれの工芸品を熱心に見学されておられました。

水戸在住の友人Tくんが、忙しい中来てくれて
なおかつ販売の手伝いまでしてくれました。感謝です。

粘葉装のお話

粘葉本和漢朗詠集は有名な古筆ですが、その装丁である粘葉装(でっちょうそう)について
説明してみようかと思います。

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写真は和漢朗詠集の粘葉装にする時の料紙です。
両面の加工がしてあります。
右の料紙がおもてになります。左が裏で、おもてと同じ色具引きがしてあり
文様はありません。
  (料紙の大きさ 245㎜×200㎜)

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おもて面が谷になるように、真ん中に折りを入れます。

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折り目を背にして、幅6㎜くらいで糊を入れ隣の紙と合わせていきます。

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実際に張り合わせた状態です。
おもて面は、しっかり平らに開きますが、裏面は糊代の分だけ
狭くなります。
こうして同じように何枚も重ねて張り合わせ、一冊の本になります。
原本は29枚の両面の料紙が折って重ねて張り合わせてあります。
一枚の料紙で4ページ分といえば分かりやすいでしょうか。

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表紙を付けて装丁の完成になります。
粘葉装の大まかな様子が分かって頂けましたでしょうか。

実際に販売している和漢朗詠集の料紙は、ほとんどが片面の加工です。
お客様が製本を前提に書くことはあまりありません。

粘葉装の古筆には、他に西本願寺本三十六人家集があります。
寸松庵色紙と継色紙ももとは粘葉装であったといわれています。

蝋箋(ろうせん)のお話

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蝋箋は、唐紙の仲間です。
唐紙では、文様は雲母を膠でといで使いますが
蝋箋は、文様を擦り出して表現しています。

下地は唐紙と同じように胡粉を引いてつくります。

そうして下地の出来上がった紙を、表を上にして
木版の上に乗せます。
それから、猪牙(ちょき)を使って、丁寧に擦ることにより
文様の部分が現れます。

写真はイノシシの牙を、道具として加工したものです。
この形で販売されています。猪牙です。

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猪牙で擦るときに少しだけ木蝋を付けます。
そのまま擦っても、紙の表面がむけてしまいうまくいきません。
木蝋をほんの少し付けることにより、滑りがよくなるのと
紙の面に光沢がでます。
もう30年近く使っていますが、ほとんど形は変わっていません。
それくらい、少量しか付けません。

この蝋を使うことで、不思議と墨をはじくことがありません。
新しい木蝋を使って試験すると、濃い墨は大丈夫なのですが
薄い墨や、かすれた部分が今ひとつです。
専門の方に見てもらっても、ただの木蝋です。
祖父の代から受け継がれたものなので、大切に使っています。

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写真は、寸松庵色紙の亀甲紋です。
円を描くように、丁寧に擦っていきます。

一枚の料紙を仕上げるのに、かなりの時間を要します。
一番手間のかかる料紙でしょう。
ただ根気よく、根気よく、丁寧に、丁寧に、です。

蝋箋を使った古筆は、ほかに巻子本古今集や道斉集などが
あります。

講演

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坂戸書道連盟さんのご招待で、かな料紙のお話をさせて戴きました。
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墨流しの実演をしました。

御集り頂いた書道家の皆様、たいへん熱心にお話を聞いて
頂きました。心より感謝です。

より分かり易くと、心がけているのですがなかなかうまく説明が
できません。今後の課題です。

2013年9月15日 坂戸市文化施設オルモ

バレン

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木版摺りに使うバレンのお話です。
竹の皮をはがして、中身を出してみます。
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竹の皮の元に近い部分の、三分の一くらいの丈夫なところ。
その皮を細く裂いて、縄のように編んだものが中に入っています。
これは、八コと呼ばれている編み方のものを渦巻き状に巻いて
当て皮という台に収めたものです。
縄の凸凹が程よく紙の面に当たり、摺ることができます。
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これは十二コと呼ばれている編み方のバレンです。
八コに比べて当たりが柔らかく、細かい線が多い版木を
摺るのに適しています。
バレンは、摺る用途によって数種類の編み方があり
仕事に合った使い方をしています。

バレンは一生ものの道具で、使えば使うほど手に馴染んで
使いやすくなっていきます。
前の写真は、修行時代に購入したもので30年くらいは使って
います。
この写真のバレンは、兄弟子から譲り受けたもので
たぶん三世代に渡り使ってきたものではないかと
思います。
たいへん摺りやすい魔法の道具です!!

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何年か前の話。
工房の物置の棚で野良猫がお産をしました。
ある日、気が付くと小さいのがチョロチョロしていた。

野良猫の親子をそのまま飼うことにして数か月。
三匹の子供たちは順調におおきくなり、
母猫と同じくらいになりました。
それでも、まだまだ行動が子猫なのです。
そんな頃の写真です。
中央の乗られている猫がお母さん。

他の写真を探していたらば、仕事の写真に
まぎれていたのでアップしてみました。

この写真から6年は経ったでしょうか。
今は、黒い猫とシャムネコ柄の二匹がいます。

木版 自作

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今日も、木版のお話です。
版は自分でも作ります。写真は山桜の木を使った合板です。
表面は鉋(カンナ)ではなく、超微細なベルトサンダー。
分かり安くいうと紙やすりでしょうか。
それでも、手で触るとツルツルで鉋仕上げとそれほど
変わらない感じです。
自作の木版は、この版木を使っています。

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写真は、亀甲文様です。
寸松庵色紙や道済集や粘葉本和漢朗詠集などに使われています。
原本の印刷物から文様を写し取り、版下(原稿です)を新しい版木に
貼って、彫ります。

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これは大波文様です。
元永本古今集や西本願寺本三十六人家集に使われています。

古筆に使われている文様は、かなりの種類になりますが
まだまだ作りたいものが多くあります。
版づくりには原稿書きから彫りまで、かなりの時間がかかるので
なかなか思うようには製作が進みません。

現在持っている版木は、財産というべきもので大切に
使っています。

木版

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雲母摺りに使っている木版です。
大きさはA3くらいのサイズだと思って頂ければ良いかと思います。
前回アップした版木に彫りの職人さんが製作したものです。
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これは、苺唐草、または花唐草と呼ばれている文様の木版です。

良く使う木版で25種類くらいあります。
何色かに染め分けた紙に何種類かの木版で模様を摺るので
組み合わせはもっと多くの種類になります。
古筆用に作るときは、色と文様はだいたい決まっているのですが
普段の製作は、色と文様の組み合わせを決めずに作ります。

ここでまたお客様からのご意見で、前回と同じものがほしいのに。
申し訳ありません。
これもまた、これからの課題で対応していきたいと思います。
今のところ、紙があるときにお求め頂くしかありません。
よろしくお願い致します。

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