かな料紙 - 小室かな料紙工房 -

伝統的製造方法で、書道用かな料紙を製作しています。このWebサイトでは、製作に係わる職人の立場から、かな料紙の作り方や種類など説明したいと思います。

メニュー

箔盤のお話


DSC02029

金箔、銀箔を切る台を箔盤といいます。
写真は祖父の代から使っている箔盤です。

父もずっとこれを使っていたので、三代にわたって使い続けています。

DSC02031

蓋を取ると中には桐の板に鹿の皮を張った板が入っています。

この上に箔を乗せて竹の刀で箔を切ります。

こうして見ると、ずいぶん年季がはいっていますね!

工房の近くに、子供の木のおもちゃを作る作家さんがいます。
この箔盤を持って行って、同じものを作ってもらうようにお願いしました。
そうして何日か後に、出来上がったのが次の写真です。

DSC02038

同じく桐で作ってもらいました。
父が元気で仕事をしていた頃だったので、私も自分用のきれいなものが
ほしいと思っていたのです。
それまでは、自作のものを使っていました。

それにしても、さすがです!
子供のおもちゃを作る感性で立派なものができあがりました。

DSC02035

中は同じように、鹿の皮を張ってあります。

これを見た父が、
「オレも、ほしいな。」
なんと!

それで、もう一つお願いして作ってもらいました。
結局、父はそれを眺めて楽しんでいただけでした。
今でも皮を張らないまま、大切に保管してあります。

もう10年も以前の話です。良い思い出です。

現在私は両方の箔盤を使っています。

続きは次回。

コメント

  1. 2013.11.18

    親子のいい話ですね。
    こんな物作って、否定されるかと思いきや「オレも、ほしいな」と父親の思いがけない言葉、ナイスです。

    • アバター画像
      小室 久 2013.11.21

      崖さん、ありがとうございます。

      肝心なことより、余計なことばかり
      覚えています。

  2. 稲垣一代 2014.09.24

    箔板を買うと高いので、自分で作ろうと思っていました。偶然この記事を読んで、これは是非教えて頂こうと思ってメールします。すごく基本的なことですが、鹿皮は、裏(バックスキン)の方を使うのですか?表を使うのですか?たまたま見せて頂いた方の物は裏でしたが、買った皮の裏はそんなにきれいになめしてありません。どちらでも良いならいいのですが。是非教えてください。

    • アバター画像
      小室 久 2014.09.26

      稲垣様、コメント頂きありがとうございます。

      私の使っている鹿皮は、ほとんど表裏のはっきりしていないものです。
      なので、表と裏をあまり気にしたことがありません。皮を見て、なめらかな面を使うようにしています。

      今まで試した中で、甲州印伝の職人さんに分けてもらった皮が一番使い良かったです。
      それに近いのが、カメラ用の鹿皮です。カメラの用品店で扱っています。
      写真の新しい箔盤は、カメラ用の皮を二重に張っています。下敷きに半紙を3枚くらい。
      これは、ある程度弾力があった方が切りやすいと思ったからです。

      職人さんの中には、下敷きに綿を薄く敷いている方もいます。
      試してみましたが、私にはふわふわ感が強く、切りにくかったのです。

      いろいろな皮を試してみて、十個くらいは作ったと思います。
      一番自分の手に合った使いやすいものがいいですね。

      あと、どんな皮を使っても使い始めは切りにくいです。
      ある程度使い込んで、馴染んでくるに従って使いやすくなります。

      私の経験から書いてみました。
      また何かありましたら、お気軽にコメント下さい。

  3. 稲垣一代 2014.09.27

    丁寧にご説明頂きありがとうございます。
    今のところ、手に入りやすい材料を使うつもりで、台は桐の集成材(厚さ15㎜、200㎜前後の四角)の予定です。下敷きはキルト綿を使おうと思います。革屋さんは箔盤を作ったことはないそうですが、接着剤を使うと張り直しができないから、太鼓鋲や椅子鋲の方がいいと言われました。小室さんの箔盤は鋲は使ってありませんね。接着剤でサイドを貼ってあるのですか?何年か使っても不都合はないのでしょうか?

    • アバター画像
      小室 久 2014.09.27

      稲垣様、革屋さんのおっしゃる通りです。

      多くの技術書が、箔盤は鋲を使って止めるように進めています。
      私は使いやすさと言うか、個人的な好みで写真のような張り方にしています。
      接着剤です。意外と張り直しは簡単です。

      基本的には、どんな止め方をしても差支えないと思います。
      私は初めから接着剤でした。長年続けていますが、特に不都合を感じたことはありません。

      良い箔盤が出来るといいですね。

  4. 稲垣一代 2014.09.27

    早速のお返事ありがとうございます。とりあえず、一度挑戦してみます。

  5. 稲垣一代 2014.11.26

    小室様
    先日はいろいろ教えていただきありがとうございました。あれからたまたま、印伝用とレンズ用(キョンセーム)とを入手することができました。今日、印伝用の革で作ってみましたが、結構うまくいきました。野毛用には表を使い10センチ角の小さなものも作りました。セームはこれからですが、小室さんのお話を参考に表と裏を1つずつ作ろうと思います。まだ金箔を切ってはいませんが、これからいろいろ試してみます。

    • アバター画像
      小室 久 2014.11.27

      稲垣様、そうですか!!
      印伝用が手に入りましたか。頑張っておられますね。
      きっと、うまくいくと思います。

      先日、NHK BSの番組で、野村万斉さんがナビゲーターで「截金」を放送していました。
      出演していた並木先生のお使いの箔盤は、木の桟をあてて鋲で止めてありました。
      素晴らしい金箔の切れ味でした。

展覧会のお知らせ

アーカイブ