粘葉本和漢朗詠集は有名な古筆ですが、その装丁である粘葉装(でっちょうそう)について
説明してみようかと思います。
写真は和漢朗詠集の粘葉装にする時の料紙です。
両面の加工がしてあります。
右の料紙がおもてになります。左が裏で、おもてと同じ色具引きがしてあり
文様はありません。
(料紙の大きさ 245㎜×200㎜)
おもて面が谷になるように、真ん中に折りを入れます。
折り目を背にして、幅6㎜くらいで糊を入れ隣の紙と合わせていきます。
実際に張り合わせた状態です。
おもて面は、しっかり平らに開きますが、裏面は糊代の分だけ
狭くなります。
こうして同じように何枚も重ねて張り合わせ、一冊の本になります。
原本は29枚の両面の料紙が折って重ねて張り合わせてあります。
一枚の料紙で4ページ分といえば分かりやすいでしょうか。
表紙を付けて装丁の完成になります。
粘葉装の大まかな様子が分かって頂けましたでしょうか。
実際に販売している和漢朗詠集の料紙は、ほとんどが片面の加工です。
お客様が製本を前提に書くことはあまりありません。
粘葉装の古筆には、他に西本願寺本三十六人家集があります。
寸松庵色紙と継色紙ももとは粘葉装であったといわれています。
今日、上野平成館の特別展 京都を見てきました。
屏風絵、障壁画展示だったのでこのような展示はありませんでしたが、確かな装丁、表具、表装の技無くしてこの展覧会は無いのだなぁ…としみじみ思いました。
遷宮の月。繋ぎ続けて行く事の尊さを感じています。
梅花さん、ありがとうございます。
特別展いいですね。私もぜひ行ってこようと思います。
装丁は、創業者の祖父が得意だったので道具が残っています。
私は、専門外なので楽しみで作るくらいです。
ただ、面白い作業なので時間を忘れて集中できます。
古筆を解説する上で、もう一つ「胡蝶綴じ」という大切な装丁があります。
少し複雑なので分かりやすくする為に、どう説明するか考え中です。
ぜひ、取り上げたいと思っています。
粘葉本和漢朗詠集の臨書を実物に近い形で全臨したいと思っています。臨書練習用紙は料紙と無地の2パターンが入っています。しかし、小室さんの説明ですと、料紙面と裏面を使用することになりますね。裏面に色がありません。裏面も書けるようになっている紙を手に入れる必要がありますね。教えてください。
修子様
コメントをありがとうございました。
最終的に粘葉本として、製本されることを想定してお書きになるのでしたら
両面加工の唐紙が必要になります。
私の工房では、ほとんど販売用に作ることはありません。
他のメーカーさんで、もしかすると製本用両面加工の料紙をお作りのところはあるかもしれませんので
お問い合わせしてみてはいかがでしょうか。
もう一つ、表具師さんにお願いして2枚の料紙を両面になるように張り合わせる、
という方法があります。
問題は、料紙が厚くなってしまうことでしょうか。
両面は、需要の少ない料紙なので、生産量も少ないと思われます。