かな料紙 - 小室かな料紙工房 -

伝統的製造方法で、書道用かな料紙を製作しています。このWebサイトでは、製作に係わる職人の立場から、かな料紙の作り方や種類など説明したいと思います。

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唐紙の下地 ぼかし


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前回は基本の無地染めでしたが、今回はぼかし染めです。

写真は刷毛に絵の具を付けた状態で、左に色の付いた絵の具、
右に胡粉だけの白を付けます。
これを刷毛の動きで全体にぼかした状態にします。

20130731_2

ぼかした状態で絵の具の付いた刷毛で、そのまま染めます。
無地で染めるのに比べて、刷毛の動く方向が制限されるので
より丁寧に染める必要があります。

20130731_3

染め上がりです。
胡粉の柔らかい色の感じが、染めていて心地よい!
と感じます。

20130731_4

各色に染めた紙を、広げて乾燥しています。

ここで色の問題について少し書いておこうと思います。
無地、ぼかしにかかわらずお客様からのクレームで多いのが、
「前回と同じ色が無い!」
本当に申し訳ありません。
単色の絵の具を使うものでも、濃い薄いが多少でてしまいます。
紫や緑、少し渋めの色など混ぜて作る色は、作るときによって
色味が違います。
私の腕の問題!というのが一番だと思うのですが
見本を用意して色合わせをしてもなかなかピッタリ同じ色に
なりません。また、ある程度の時間の制約もあるので
近いところで妥協してしまうこともあります。

普段の仕事は、見本無しで色だしをしながら次々染めていくので
なおさら色味が変わってしまいます。

どうしても同じ色をそろえたい時は、同じ時期の製作の中から
選んで頂くのが良いかと思います。
言い訳たくさんになってしまいました。

次回、雲母摺りの工程について説明したいと思います。

コメント

  1. 梅花 2013.07.31

    プロの仕事場が拝見出来るなんてすごい事です。
    心構えが仕事場に現れると言いますが、凛とした空気がありますね。
    作品も素敵ですが、お仕事に向き合う姿勢が気持ちいいです。
    生意気言いましてすみません。
    続きが楽しみです。

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      小室 久 2013.08.02

      梅花さん、ありがとうございます。

      お褒め頂き恐縮です。
      実際には、古くてぼろい仕事場なので、恥ずかしいです。

  2. TOSHIO 2013.07.31

    それが作り手としての気持ちだと思います。しかし、大量生産をする所でも色と言うのは、生産ロットによって変わってしまうそうです。色と言うのは本当に難しいです。私達もあの墨色でと言われても同じ色にはなりません。書き手としたら同じ色じゃない方がよい気がするのですが…やっぱりいい訳かな?書く方としたら毎回微妙に色が違う位がいいです。…濃さが違うと書かれた文字の印象が変わるから面白い。

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      小室 久 2013.08.02

      うーん! 墨の色というと、さらに難しい。
      たしかに、作品としては同じにならない方が面白い。

  3. 2013.09.21

    はじめまして

    水戸さんのブログから訪問させていただきました。

    私自身漢字屋ですが、和紙の加工など興味があり、また、プロの作業を細かく説明されているのには、ありがたく、感心しました。
    今後ともよろしくお願いします。

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      小室 久 2013.07.25

      崖さん、御訪問、コメントありがとうございます。

      興味を持って頂けてうれしいです。
      よろしくお願い致します

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