かな料紙 - 小室かな料紙工房 -

伝統的製造方法で、書道用かな料紙を製作しています。このWebサイトでは、製作に係わる職人の立場から、かな料紙の作り方や種類など説明したいと思います。

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和紙の染色


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染料をバットに入れて、和紙をひたします。

今染めているのは雁皮(がんぴ)という和紙で、染料の表面に浮かべるようにして染めていきます。この作業では、紙に傷を付けないことと色むらにならないように気を付けることが大切です。紙に染料がしみていくのをじっくり
観察しながら一定の速度で紙を引いていく感じです。

染めた紙はS字の金具でロープに吊り下げます。この状態で乾燥させます。
乾いた紙は、ゆがみが出るのでしばらく押しをして平らにならします。
この後、ドーサを引く作業になりますが、染料の代わりにドーサ液をバットに入れて同じように紙をひたして行います。ドーサは紙のニジミを止める為の加工で、膠とミョウバンを使います。ドーサについては、また別の機会に説明しようと思います。

染めているとき、仕事場は楢の木の染料の香りでいっぱいになります。慣れない方にとってどう感じるかわかりませんが、ずっとこの香りに触れて生活しているので私にとっては、とても良い香りです。具体的にどんな香りか、私の文章力では表現するのが難しいです。

先日、教科書の出版でおなじみの光村図書さんの取材を受けました。今回の投稿で使った写真は、取材でカメラマンの方に撮って頂いたものです。

次回は、その時のお話をしようと思います。

コメント

  1. TOSHIO 2013.05.03

    簡単に書いているけど、このタイミングって難しいんだよね。雁皮はどこの産なのかな?ドーサを引く膠はいいものがなくなったと聞きますが、矢張り以前とは感覚が違いますか?と情報収集してます(笑)。楢の香りもいいよね!時々来る人は墨のにおいする~!と言いますが、私は墨の香りすら感じません。化学染料はきついらしいので、やはり自然の産物がいいんだね!あの写真ド~ン!と出しちゃってください。さすがにプロと言う感じで、周りの空気感がすごくいいなぁ!と思いました。

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      小室 久 2013.05.03

      雁皮は愛媛県四国中央市産です。原料は輸入です。膠は何とか在庫でしのいでいます。私も膠は勉強中です。情報収集なら膠文化研究会のHPとFBがおすすめです。

  2. 今出川7 2013.05.03

    S字フックで…のクダリは、改めて和紙の強度を知る事になりました。湿って、さぞ重さもある事でしょうに、吊り下げに耐えうるとは。充ちている工房の香を想像しつつ拝読し、今回も大変勉強になりました。

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      小室 久 2013.05.03

      今出川7さん
      いつもご訪問ありがとうございます。和紙の繊維の強さは本当に素晴らしいと思います。吊り下げに耐えられないとさらにひと手間ふた手間かけないとこのような染め方はできません。和紙があってこその仕事だと思っています。

  3. sho*uc*13 2013.05.04

    ブログ更新楽しみにしてました。紙の染めかたですが、浸すというよりも、浮かせながらなのでしょうか?自分でも紙染めをしてみたのですがムラになったり破れたりして思うようにいきませんでした。料紙作りへの道のりはまだまだ遥か彼方。。。ですね~。

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      小室 久 2013.05.10

      ありがとうございます。
      おっしゃる通り浮かせながら手前に引く、という感じです。
      紙の表が下で裏が上を向いているように紙を置き、染料が浸み
      過ぎて上面に回ってくる前にゆっくり手前に引くように
      して染めます。

      上面に回ると染むらになってしまうので、注意が必要
      です。言葉ではこのくらいでしか表現できません。スミマセン。
      あとは、うまくいくまでやってみるしかありません。
      私もきずをつけたり、むらになったりを何度も繰り返して
      きれいに染められるようになりました。

      最初は、色を使わないドーサ引きから作業をして感覚を
      慣らします。多少上面に回っても、ドーサでしたら
      それほど目立ちません。

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