かな料紙 - 小室かな料紙工房 -

伝統的製造方法で、書道用かな料紙を製作しています。このWebサイトでは、製作に係わる職人の立場から、かな料紙の作り方や種類など説明したいと思います。

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箔を撒く その3


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今回は、紙に薄めた膠の溶液を刷毛で引いて
荒い砂子を撒いてみようと思います。

荒い砂子の作り方は2014年1月28日の投稿をご覧ください。
   https://kanaryoshi.com/987/

写真は、膠の溶液を薄めたものが
バットに入っています。

薄める、と言ってもどのくらいかわかりにくいですね。
普段は、量ったことはありません。

もう一回作り直して、今度は量ってみました。
原液は三千本膠一本(約12g)にフノリ(1.2g)を
200ccの水で溶かします。

濾したこの原液を25ccに対して、お湯を
350cc~450ccくらいの感じで薄めます。

数字にするとこのくらいでしょうか。
あくまでも目安ですので、実際に撒いてみて
濃くしたり、薄くしたりと調整します。

刷毛は馬の毛のものを使っていますが
羊毛の水刷毛を使っても大丈夫です。

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分りやすいように、写経用の紫紙に
撒いてみます。

刷毛に適量を含ませ、横、縦、横、縦、位の感じで
紙に薄めた溶液を引きます。

含ませる量は数字では表せませんので、
適量です。

含ませる量が少ないと刷毛が
動かし難くなります。

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竹筒に入れた荒い砂子を全体に
撒きます。

DSC04346

そのあと、押さえ紙を乗せて
上から、掌で擦るようにして押さえます。
押さえた紙に砂子がたくさん付いてしまう
時は、溶液の付け過ぎ、または濃すぎる
事が原因です。

紙は色々なものが使えます。
写真は、ボーガスペーパーです。
くしゃくしゃと丸めて、クッションに使う
為の割安の再生紙です。

新聞紙でも大丈夫です。
ただ最低でも半年より古いものを
使って下さい。
インクが落ち着いて料紙を汚す
確率が少なくなります。
理想は3年くらい。

出来たら全開に広げたものを
重ねて押しをします。
さらに直径20㎝くらいに巻いて
保存しておきます。
しわが比較的きれいになって
使いやすくなります。
新聞巻が何本かいつも作り置きして
あります。
何にでも使えてとても重宝します。

すみません。
話がそれました。

DSC04359

写真は、荒い砂子、中くらいの砂子、細かい砂子
を撒いたものです。
砂子を作るフルイの目の大きさによって
変わります。

DSC04366

荒い砂子を使った古筆の料紙の中で
写真は、筋切の料紙と大字朗詠集の
料紙です。
どちらも、金と銀の荒い砂子が撒かれています。

コメント

  1. 徳橋恭子 2015.05.19

    実感として伴わないと本当の理解は出来ませんが、膠の扱いは難しいです。
    なかなか云うことを聞いてくれませんでした(笑)
    成功体験が無いので見ていてドキドキします。
    金泥を扱うことはあるのでしょうか?あればそのご紹介も見せて頂きたいです。
    いつも楽しみにしております。

    • アバター画像
      小室 久 2015.05.20

      徳橋様
      ありがとうございます。
      膠の扱いはむずかしいです。
      未だ、自信なく慎重に作業を続けています。

      金泥は、日本画を描かれる方の方が丁寧に
      膠でといているように思われます。
      参考になるかわかりませんが、追って
      投稿したいと思います。

  2. かみがいと せいりゅう 2015.05.19

    工房で大切な資料などを見せて頂きありがとうございました。
    工房のあと、袋田の滝・五浦の旧岡倉天心邸・那珂湊を巡って
    帰ってきました。天心には若い頃より興味があって弟子たちと籠った
    五浦へ行きたいという願いが叶いました。想像以上に風光明媚で
    いつまでもそこに居たいと思える処でした。

    • アバター画像
      小室 久 2015.05.20

      かみがいと さま
      こちらこそ、遠方からお越しいただき
      ありがとうございました。

      良い観光になられたようで、良かったです。
      五浦はいいですね。
      お話を聞いていて、行きたくなりました。

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