かな料紙 - 小室かな料紙工房 -

伝統的製造方法で、書道用かな料紙を製作しています。このWebサイトでは、製作に係わる職人の立場から、かな料紙の作り方や種類など説明したいと思います。

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工房日記の記事一覧

唐紙の下地

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胡粉を膠で良く練るところから、仕事の始まりです。
毛足の短い刷毛で濃いめの状態で膠と胡粉をよくなじませます。
さらに染める色に合わせて絵の具を加えます。

写真は、藍色の絵の具を入れて、程よく薄めて
染める状態にしたものです。
刷毛は、馬の毛でわりと毛がしっかりしたものを使います。

胡粉(ごふん)
イタボガキの貝殻を十年から十五年くらい天日でさらし
石臼で引いて粉にしたものです。
日本人形、日本画、などに使われ、そのままだと
温かみのある独特の白になります。

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あらかじめドーサを引いてにじまないようにした雁皮紙に
刷毛で染めている写真です。
縦横に何度も刷毛を動かして、染むらの無いように
作業をします。

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広げて乾燥しているところです。

全体を通して、
膠の加減に気を付ける事が大切です。強すぎても
弱くても、後々問題が出てきます。
数字で表せないので、作業をしてみて感じて覚える
しかありません。

乾燥が仕上がりに影響するので、天気の良い
よく乾く環境が理想です。
梅雨時の高温で湿度の高い状態は、いちばんむずかしい
季節です。

次回も又、下地作りの続きをアップしようと思います。

唐紙

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平安時代に唐の国から輸入されたので、「唐紙」と呼ばれています。

一般に唐紙というと、襖に張る建築用の紙を指して言いますが
書道用の唐紙も製法は同じです。

あらかじめドーサを引いてにじまないようにした紙に、胡粉を
引いて下地を作ります。
そこに木版を使って雲母で模様を摺ります。

粘葉本和漢朗詠集、寸松庵色紙、本阿弥切、元永本古今集など
様々な古筆に使われている料紙です。

始めは輸入したものを使っていたようですが、平安時代末には
和製の唐紙が使われるようになっているのだそうです。

写真上は菊唐草、写真下は苺唐草と呼ばれています。
文様に関しては、同じ文様でも様々な名前があるので
何が正しい呼び方なのかは、わかりません。

次回は、唐紙の下地作りの話をしようと思います。

ドーサ引き

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紙がにじまないように、ドーサ引きをします。
漉いた状態の和紙は墨や水をよく吸い込んでにじみます。
かな料紙は基本にじまない紙なので、必ず
ドーサを引くことになります。
また、ドーサを引いてにじみを止めないと出来ない加工が
あります。

膠(写真上)
三千本膠と言われているものです。牛の皮を原料にして
ゼラチン質を煮て取り出して乾燥させます。
ドーサに限らず、かな料紙の加工では重要な材料です。

ミョウバン(写真下)
正しくは、硫酸アルミニウムカリウムという化合物です。
ナスの漬物の色を悪くしないために使ったりします。

大まかに膠10gとミョウバン5g、これをお湯
800ccから1000ccくらいにといで使います。
膠とミョウバンの割合は、日本画の作家さん、表具屋さん
のように使う方によって違うので
それぞれの工夫があるのだと思います。
ミョウバンをもっと多く使う方もいます。また照りが
出やすいので、ほんの少しだけ、という方もいます。

ドーサは、季節や気温など環境で効き方が変わるので
その都度水の量を変えて、調整が必要になります。

こうして作ったドーサ液を紙に引いてにじみを止めるのです。

膠文化研究会

20130701

第三回膠(にかわ)文化研究会に参加しました。
会場は、東京芸術大学美術学部中央第一講義室。
写真は門を通ってから会場の建物へ向かう間です。

数年前、和膠を製造する最後の生産者さんが廃業しました。
仕事の上で膠はとても重要な材料であるにも関わらず、
生産の現場が厳しい状況であったことは知りませんでした。

研究会は、作家、文化財修復技術者、研究者、教育者、
などの方々による集まりで、とても内容の濃いものでした。

興味のある方は、膠文化研究会のウェブサイトが
ありますので、アクセスしてみてください。

膠の話は、後々投稿していきたいと思っています。

工房周辺

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工房は、常陸太田市の山間部にあります。
まわりは今の季節緑でいっぱいです。

少しだけ田んぼを作っています。
屋内が多い仕事なので、たまの農作業はとても良い
気分転換。

六月は稲もグッと伸びますが、雑草も負けずに成長
するので、田んぼの中の草取りと畔草刈の作業を
します。

夕方、農作業の後のビールは格別です!

師匠の仕事

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全体
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拡大

木版画による源氏物語絵巻詞書の複製
(第三十七帖 横笛 第一紙)

私に木版の仕事を教えて下さった米田稔師匠の仕事です。
下地のぼかしや截箔も木版画で表現しています。

書の部分も木版です。墨の濃淡やかすれたところなど
丁寧に作られています。

何作品か残っているのですが、大切な資料です。
前回の貫之集の料紙は、師匠の指導を受けながら
製作したので思い出が沢山あります。

西本願寺本三十六人家集 貫之集上の料紙

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貫之集の上

西本願寺本の三十六人家集の中から貫之集の上に使われている料紙の複製です。

墨流しを水の流れに見立てて、水辺の草が描かれています。実際に墨流しを原本の通りに流すことは不可能なので、木版で再現しています。水辺の草や鳥、茶色のぼかしもすべて木版です。

始めに和紙を草木染で薄く茶色に染め、表面に細かい截箔を撒き下地を作ります。それから木版で墨流しから茶色のぼかしと順番に摺っていきます。
最後に銀泥で草や鳥を摺って仕上がりになります。

原本の墨流しはもっと濃くなっているのですが、実際に書くためには少し濃すぎるので薄くして有ります。複製を作るとき、このあたりの感覚が難しいです。書の線を最大限活かす為にはどのくらいの装飾にするべきなのか?
今だに、よくわかりません。

梅雨入り宣言が出てから、晴れの日が続いています。これは、料紙の加工にとてもありがたい事です。梅雨は湿度が高く紙が乾きにくいので、仕事がやりにくいのです。でも、今適度に雨が降らないと後々困りますよね。

みつむらグラフィック書道

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全体 表
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全体 裏
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拡大 その1
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拡大 その2
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拡大 その3
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拡大 その4
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拡大 その5
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拡大 その6
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拡大 その7

「みつむらグラフィック書道」は、大きさが842㎜×594㎜のポスター形式の教材で 裏と表に印刷されています。

表面には西本願寺三十六人歌集の4点の原本の写真と解説が載っています。裏面にはその料紙の複製を作る工程が載っています。

初めて見る方でも解りやすいように、編集して頂いています。全国の高校の書道科に配布するそうです。

このような形で記事にして頂けたことと、若い世代の方に見て頂けることは、本当にありがたい事だと感じています。

現実よりも5割増しくらい立派に仕上げてもらって、なんだか照れくさいです。

(ブログへの投稿については光村図書さんの許可を頂いています。)

和紙の染色

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染料をバットに入れて、和紙をひたします。

今染めているのは雁皮(がんぴ)という和紙で、染料の表面に浮かべるようにして染めていきます。この作業では、紙に傷を付けないことと色むらにならないように気を付けることが大切です。紙に染料がしみていくのをじっくり
観察しながら一定の速度で紙を引いていく感じです。

染めた紙はS字の金具でロープに吊り下げます。この状態で乾燥させます。
乾いた紙は、ゆがみが出るのでしばらく押しをして平らにならします。
この後、ドーサを引く作業になりますが、染料の代わりにドーサ液をバットに入れて同じように紙をひたして行います。ドーサは紙のニジミを止める為の加工で、膠とミョウバンを使います。ドーサについては、また別の機会に説明しようと思います。

染めているとき、仕事場は楢の木の染料の香りでいっぱいになります。慣れない方にとってどう感じるかわかりませんが、ずっとこの香りに触れて生活しているので私にとっては、とても良い香りです。具体的にどんな香りか、私の文章力では表現するのが難しいです。

先日、教科書の出版でおなじみの光村図書さんの取材を受けました。今回の投稿で使った写真は、取材でカメラマンの方に撮って頂いたものです。

次回は、その時のお話をしようと思います。

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楢の木の皮を煮ています。

三日間じっくりと煮込むと、仕事で使えるくらいの濃さの染料が
作れます。
薪がたくさん必要なので、楢の皮をむいた残りの木の部分
だけでは足りず、間伐材や解体した古民家の柱なども薪として
使います。

夏は汗だくで厳しいのですが、冬は暖かくて快適です。
焼き芋がおいしく焼けます!!

ボールに入っているのが、取り出した染料です。
何度か布で濾してから染の工程に入ります。

次回、染の作業です。

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