かな料紙 - 小室かな料紙工房 -

伝統的製造方法で、書道用かな料紙を製作しています。このWebサイトでは、製作に係わる職人の立場から、かな料紙の作り方や種類など説明したいと思います。

メニュー

工房日記の記事一覧

膠文化研究会

20130701

第三回膠(にかわ)文化研究会に参加しました。
会場は、東京芸術大学美術学部中央第一講義室。
写真は門を通ってから会場の建物へ向かう間です。

数年前、和膠を製造する最後の生産者さんが廃業しました。
仕事の上で膠はとても重要な材料であるにも関わらず、
生産の現場が厳しい状況であったことは知りませんでした。

研究会は、作家、文化財修復技術者、研究者、教育者、
などの方々による集まりで、とても内容の濃いものでした。

興味のある方は、膠文化研究会のウェブサイトが
ありますので、アクセスしてみてください。

膠の話は、後々投稿していきたいと思っています。

工房周辺

20130624

工房は、常陸太田市の山間部にあります。
まわりは今の季節緑でいっぱいです。

少しだけ田んぼを作っています。
屋内が多い仕事なので、たまの農作業はとても良い
気分転換。

六月は稲もグッと伸びますが、雑草も負けずに成長
するので、田んぼの中の草取りと畔草刈の作業を
します。

夕方、農作業の後のビールは格別です!

師匠の仕事

20130619_1
全体
20130619_2
拡大

木版画による源氏物語絵巻詞書の複製
(第三十七帖 横笛 第一紙)

私に木版の仕事を教えて下さった米田稔師匠の仕事です。
下地のぼかしや截箔も木版画で表現しています。

書の部分も木版です。墨の濃淡やかすれたところなど
丁寧に作られています。

何作品か残っているのですが、大切な資料です。
前回の貫之集の料紙は、師匠の指導を受けながら
製作したので思い出が沢山あります。

西本願寺本三十六人家集 貫之集上の料紙

20130610

貫之集の上

西本願寺本の三十六人家集の中から貫之集の上に使われている料紙の複製です。

墨流しを水の流れに見立てて、水辺の草が描かれています。実際に墨流しを原本の通りに流すことは不可能なので、木版で再現しています。水辺の草や鳥、茶色のぼかしもすべて木版です。

始めに和紙を草木染で薄く茶色に染め、表面に細かい截箔を撒き下地を作ります。それから木版で墨流しから茶色のぼかしと順番に摺っていきます。
最後に銀泥で草や鳥を摺って仕上がりになります。

原本の墨流しはもっと濃くなっているのですが、実際に書くためには少し濃すぎるので薄くして有ります。複製を作るとき、このあたりの感覚が難しいです。書の線を最大限活かす為にはどのくらいの装飾にするべきなのか?
今だに、よくわかりません。

梅雨入り宣言が出てから、晴れの日が続いています。これは、料紙の加工にとてもありがたい事です。梅雨は湿度が高く紙が乾きにくいので、仕事がやりにくいのです。でも、今適度に雨が降らないと後々困りますよね。

みつむらグラフィック書道

20130513_1
全体 表
20130513_2
全体 裏
20130513_9
拡大 その1
20130513_8
拡大 その2
20130513_7
拡大 その3
20130513_6
拡大 その4
20130513_5
拡大 その5
20130513_4
拡大 その6
20130513_3
拡大 その7

「みつむらグラフィック書道」は、大きさが842㎜×594㎜のポスター形式の教材で 裏と表に印刷されています。

表面には西本願寺三十六人歌集の4点の原本の写真と解説が載っています。裏面にはその料紙の複製を作る工程が載っています。

初めて見る方でも解りやすいように、編集して頂いています。全国の高校の書道科に配布するそうです。

このような形で記事にして頂けたことと、若い世代の方に見て頂けることは、本当にありがたい事だと感じています。

現実よりも5割増しくらい立派に仕上げてもらって、なんだか照れくさいです。

(ブログへの投稿については光村図書さんの許可を頂いています。)

和紙の染色

20130502_1

20130502_2

染料をバットに入れて、和紙をひたします。

今染めているのは雁皮(がんぴ)という和紙で、染料の表面に浮かべるようにして染めていきます。この作業では、紙に傷を付けないことと色むらにならないように気を付けることが大切です。紙に染料がしみていくのをじっくり
観察しながら一定の速度で紙を引いていく感じです。

染めた紙はS字の金具でロープに吊り下げます。この状態で乾燥させます。
乾いた紙は、ゆがみが出るのでしばらく押しをして平らにならします。
この後、ドーサを引く作業になりますが、染料の代わりにドーサ液をバットに入れて同じように紙をひたして行います。ドーサは紙のニジミを止める為の加工で、膠とミョウバンを使います。ドーサについては、また別の機会に説明しようと思います。

染めているとき、仕事場は楢の木の染料の香りでいっぱいになります。慣れない方にとってどう感じるかわかりませんが、ずっとこの香りに触れて生活しているので私にとっては、とても良い香りです。具体的にどんな香りか、私の文章力では表現するのが難しいです。

先日、教科書の出版でおなじみの光村図書さんの取材を受けました。今回の投稿で使った写真は、取材でカメラマンの方に撮って頂いたものです。

次回は、その時のお話をしようと思います。

20130418_1

20130418_2

楢の木の皮を煮ています。

三日間じっくりと煮込むと、仕事で使えるくらいの濃さの染料が
作れます。
薪がたくさん必要なので、楢の皮をむいた残りの木の部分
だけでは足りず、間伐材や解体した古民家の柱なども薪として
使います。

夏は汗だくで厳しいのですが、冬は暖かくて快適です。
焼き芋がおいしく焼けます!!

ボールに入っているのが、取り出した染料です。
何度か布で濾してから染の工程に入ります。

次回、染の作業です。

木の皮を削る

20130415_1

20130415_2

茶色の染料になる楢の材木を切って、小屋に収め終わったのが上の写真です。

こうして楢の木を積んでおくと、絶好のカミキリムシの仲間の繁殖場になります。ときどき玉虫が産卵しているらしく一年の内に何匹か見かけることがあります。木の内部をかじってしまうのですが、あまり大きな影響は無いので、
そのままにしてあります。

それからナタで皮を削る作業をします。なんと効率の悪い仕事を、と思われると思いますが、こうして手で削った方が良い色がでるのです。どうしてかは分かりません。

次回は、釜で皮を煮て染料を作る工程です。

草木染

20130409

楢(なら)の木の皮

写真は、楢の材木を仕入れたところです。使うのは皮だけで、木の部分は
皮を煮出す時の薪として使います。皮を煮て茶色の染料を作ります。
この状態では取り扱いが出来ないので、適当に三つに切って小屋にしまいます。一つが60㎝くらいの大きさになります。

この写真を見て、かな料紙にはなかなか結び付かないですよね。
通りがかりの方に、何やってるんですか?とよく聞かれます。うまく説明できません。

次の工程は、また次回の投稿で!

和紙を加工する仕事

20130403

漬け染め(写真は染めた紙を干しているところです)

和紙を染料に漬けて染める作業をしています。
染料は、楢(なら)の皮を煮出して作った染液で、茶色に
染まります。ほどよい古色になるので、古筆を書くには
ちょうど良い落ち着いた色になります。

高野切用紙は、薄い茶色の染め紙に荒い雲母の粉が
蒔いてあります。

関戸本古今集は、濃淡の茶色の染め紙が使われています。

小島切は、茶色の染め紙に荒い雲母の粉が蒔いてあり
飛び雲と言われている小さな雲がところどころに装飾されて
います。

このような感じで、かな料紙製作に関する内容を投稿していく
予定でいます。
御訪問の皆様、どうぞよろしくお願い致します。

アーカイブ