金箔、銀箔を切る台を箔盤といいます。
写真は祖父の代から使っている箔盤です。
父もずっとこれを使っていたので、三代にわたって使い続けています。
蓋を取ると中には桐の板に鹿の皮を張った板が入っています。
この上に箔を乗せて竹の刀で箔を切ります。
こうして見ると、ずいぶん年季がはいっていますね!
工房の近くに、子供の木のおもちゃを作る作家さんがいます。
この箔盤を持って行って、同じものを作ってもらうようにお願いしました。
そうして何日か後に、出来上がったのが次の写真です。
同じく桐で作ってもらいました。
父が元気で仕事をしていた頃だったので、私も自分用のきれいなものが
ほしいと思っていたのです。
それまでは、自作のものを使っていました。
それにしても、さすがです!
子供のおもちゃを作る感性で立派なものができあがりました。
中は同じように、鹿の皮を張ってあります。
これを見た父が、
「オレも、ほしいな。」
なんと!
それで、もう一つお願いして作ってもらいました。
結局、父はそれを眺めて楽しんでいただけでした。
今でも皮を張らないまま、大切に保管してあります。
もう10年も以前の話です。良い思い出です。
現在私は両方の箔盤を使っています。
続きは次回。
親子のいい話ですね。
こんな物作って、否定されるかと思いきや「オレも、ほしいな」と父親の思いがけない言葉、ナイスです。
崖さん、ありがとうございます。
肝心なことより、余計なことばかり
覚えています。
箔板を買うと高いので、自分で作ろうと思っていました。偶然この記事を読んで、これは是非教えて頂こうと思ってメールします。すごく基本的なことですが、鹿皮は、裏(バックスキン)の方を使うのですか?表を使うのですか?たまたま見せて頂いた方の物は裏でしたが、買った皮の裏はそんなにきれいになめしてありません。どちらでも良いならいいのですが。是非教えてください。
稲垣様、コメント頂きありがとうございます。
私の使っている鹿皮は、ほとんど表裏のはっきりしていないものです。
なので、表と裏をあまり気にしたことがありません。皮を見て、なめらかな面を使うようにしています。
今まで試した中で、甲州印伝の職人さんに分けてもらった皮が一番使い良かったです。
それに近いのが、カメラ用の鹿皮です。カメラの用品店で扱っています。
写真の新しい箔盤は、カメラ用の皮を二重に張っています。下敷きに半紙を3枚くらい。
これは、ある程度弾力があった方が切りやすいと思ったからです。
職人さんの中には、下敷きに綿を薄く敷いている方もいます。
試してみましたが、私にはふわふわ感が強く、切りにくかったのです。
いろいろな皮を試してみて、十個くらいは作ったと思います。
一番自分の手に合った使いやすいものがいいですね。
あと、どんな皮を使っても使い始めは切りにくいです。
ある程度使い込んで、馴染んでくるに従って使いやすくなります。
私の経験から書いてみました。
また何かありましたら、お気軽にコメント下さい。
丁寧にご説明頂きありがとうございます。
今のところ、手に入りやすい材料を使うつもりで、台は桐の集成材(厚さ15㎜、200㎜前後の四角)の予定です。下敷きはキルト綿を使おうと思います。革屋さんは箔盤を作ったことはないそうですが、接着剤を使うと張り直しができないから、太鼓鋲や椅子鋲の方がいいと言われました。小室さんの箔盤は鋲は使ってありませんね。接着剤でサイドを貼ってあるのですか?何年か使っても不都合はないのでしょうか?
稲垣様、革屋さんのおっしゃる通りです。
多くの技術書が、箔盤は鋲を使って止めるように進めています。
私は使いやすさと言うか、個人的な好みで写真のような張り方にしています。
接着剤です。意外と張り直しは簡単です。
基本的には、どんな止め方をしても差支えないと思います。
私は初めから接着剤でした。長年続けていますが、特に不都合を感じたことはありません。
良い箔盤が出来るといいですね。
早速のお返事ありがとうございます。とりあえず、一度挑戦してみます。
小室様
先日はいろいろ教えていただきありがとうございました。あれからたまたま、印伝用とレンズ用(キョンセーム)とを入手することができました。今日、印伝用の革で作ってみましたが、結構うまくいきました。野毛用には表を使い10センチ角の小さなものも作りました。セームはこれからですが、小室さんのお話を参考に表と裏を1つずつ作ろうと思います。まだ金箔を切ってはいませんが、これからいろいろ試してみます。
稲垣様、そうですか!!
印伝用が手に入りましたか。頑張っておられますね。
きっと、うまくいくと思います。
先日、NHK BSの番組で、野村万斉さんがナビゲーターで「截金」を放送していました。
出演していた並木先生のお使いの箔盤は、木の桟をあてて鋲で止めてありました。
素晴らしい金箔の切れ味でした。