かな料紙 - 小室かな料紙工房 -

伝統的製造方法で、書道用かな料紙を製作しています。このWebサイトでは、製作に係わる職人の立場から、かな料紙の作り方や種類など説明したいと思います。

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箔を撒く その4


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今日はトメドーサについてです。

箔を撒いてから、よく乾かし、それから「トメドーサ」を引きます。
ドーサ液については、2013年7月12日の投稿をご覧ください。

     https://kanaryoshi.com/518/

ニジミを止めるためのドーサ液に比べて
ミョウバンの量を半分くらいにします。
また、さらに薄めに合わせます。

これも加減は、職種によって変わると思われますので
参考という事にして下さい。

写真は、箔を撒いてから一度良く乾かした紙に
トメドーサを引いているところです。

トメドーサを引いたら、そのまま乾かします。

【トメドーサの効用】
 〇箔がよりよく定着する。
 〇箔上の墨の乗りが良くなる。
 〇銀の変色を遅らせる。

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特に銀はそのままだとすぐに変色がはじまります。

写真は、銀箔を紙に平押ししてから10年経過したものです。

片方にだけトメドーサが引いてあります。
そのままだと数カ月で色が変わっていくのが分ります。

銀箔はそれでも少しづつ色が変化します。
古筆の中でも源氏物語絵巻の詞書の料紙は
800年を経て、かなり銀箔が黒くなっています。

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写真は、私の祖父の手による料紙です。
もう50年以上にはなると思います。

だいぶ黒くなってきています。

変色は周りの環境にもかなり影響をうけますので
保存の仕方にもよるのだと思います。

箔を撒く工程を4回に分けて投稿しました。
大まかな作業の流れをおわかり頂けたでしょうか。

コメント

  1. 徳橋恭子 2015.05.30

    うーん。日本画現役時代に小室さんと知り合いたかったです。箔の扱いは素人には無理だと金泥に逃げていました。でも簡単に出来るものじゃない事はよーく分かります(笑) ドーサも膠も胡粉も泣かされ続けていましたが…(^_^;)
    銀の変色は防ぐのは限界があるんですね。
    酒井抱一の屏風など本当はどんな輝きだったのか?
    想像しています。

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      小室 久 2015.05.31

      徳橋様
      ありがとうございます。
      実のところ私もどこまでわかっているのか。
      いつまでも手探りしている感じがあります。

      銀は歳をとるので人間みたいですね。

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